環境問題を考えています
環境問題を考えるには,地球規模の視点が必要ですが,その際には時間的なスケールも地球規模のものが必要です.この視点が欠如すると短期的な目先の問題にとらわれてしまい環境問題を本質的に理解することはできません理科教育研究室では,1万年あるいは100万年単位での環境変動を考える学習・研究を通して,新しい世紀に求められる「自然観」や「環境観」を身に付けるとともに,そうした環境変動に関する情報を,独力で収集できるようなカリキュラムを組んでいます.
こどもの野外自然体験に取り組んでいます
理科教育研究室では,こども対象のキャンプを学生主導で運営します.その活動を通して,野外体験学習についての研修を深めるとともに,さまざまなプログラムを企画・開発・実施することを通して,こどもに自然を学ばせるということはどういうことなのか,指導者として体験学習をどう取り仕切ったらいいのかといった多くの課題に取り組みます.また,近郊の学校へ赴いての授業参観や研究授業などを通して「科学教育と自然体験」についての研修も行います.
また,ネイチャーゲームなどの資格取得講習会を開催するなどしながら,望ましい自然体験学習のあり方を研究しています.
北海道の自然について学びます
北海道は「自然が豊富」「緑の大地」といったイメージで考えられがちですが,実際に私たちの周囲にある“緑”は,畑・植林地・公園などの「人工疑似自然」がほとんどです.本来の自然の姿を知ることなく,「疑似自然」をベースに自然と人間のかかわりを考えるだけでは,真の意味での環境問題は語れません.理科教育研究室では,年に数回の調査旅行(巡検)等を通して,手つかずの自然を体感し,本来の自然のありようがどのようなものであるかを考える場を持ちます.
理科教育研究室って,どんなところでしょう??
卒業論文では,環境・教育・野外活動・自然体験学習をキーワードにした科学的な研究をします.自然科学では,考察に必要なデータは自分で実験や観察を行って集めなければなりません.また,過去に結論の出ている問 題は基本的に扱いませんので,卒論がまとまればそれは常に最新の研究成果となります.誰も正解を知らない謎解きですから,手探りでつらい部分もあります が,そのテーマに関しては「世界で初めて自分が知った」という喜びもあります.
理科教育研究室って,どんなところでしょう??
学生は,以下の学外活動に参加することができます.
- 現職教員の教育研究集会
→教科・学級運営等の多くの分科会があり,現場の生の声を学べます - 岩見沢の環境変化の研究と教材化
→OBの現職教員で組織する研究グループが行う野外調査に立脚する研究や教材(副読本)づくりです - 各学会が主催する学習会
→地球環境の変化を扱う学会(たとえば日本地質学会)の現職教員向けの講習会などです
ホームルームがあります
理科教育研究室では,教官と学生のホームルームの時間が開設されています.そこでは,教官と学生が輪番で「理科」・「環境」・「教育」をキーワードに紹介します.これまで話題になったものには
・北斗の拳を科学する
・割りばしで炭を作る
・柱状節理(火山岩の割れ目)パターンのできかた
・ビートから砂糖を作ろう
・固めるテンプルで「ロウソク雪行灯」
・タマネギ染
・簡単シャーベット作り
などがあります.
学生はこんな資格を取っています
理科教育研究室所属の学生は,研究室行事や指定の講義を受講することで,以下のような資格を取得しています(認定には資格認定法人に所定の登録料を支払うことが必要です).
資格を取得するということは,ある分野での系統的な学習を修めているという証でもあります.しかし,資格を取るということは,その分野を十分に理解するための扉を開けた,ということでもあります.単に資格を取るということではなく,「資格取得カリキュラムを通して得た学びをどう活用し掘り下げていけるか」の方が重要な理科教育研究室での活動になっています.
◎ネイチャーゲーム リーダー(社団法人 日本ネイチャーゲーム協会)
→こどもが(例えば理科の授業で)科学的なものの見方を身に付けるためには,それなりの基礎になる自然体験が必要です.昨今では生活科を始めとする各教科において,不足しているこどもの体験を補完する意味でも体験的な学習が推奨されていますが,その方法論は確立しているとはいえません.理科教育研究室では,ネイチャーゲームという環境学習・自然体験学習プログラムを例に,こどもに(授業としてではなく)遊びを通して自然体験を蓄積させていく方法について研究・学習します.岩見沢校では,2003年度からネイチャーゲーム協会の課程認定校として,この地のフィールドを生かし,2泊3日の自然体験キャンプの中で資格取得ができるような講習会を開催しています.2004年度は6月18~20日が予定されており,場所は岩見沢校近傍の利根別原生林の予定です.
◎自然体験活動 リーダー(NPO法人 自然体験活動推進協議会)
→理科教育研究室でいくつかの資格を取れるようなカリキュラムを取得すると,自然体験活動のリーダーとしての登録を行うことができます.この登録を行うと,地域社会などからの養成の基づいて,自分の得意なジャンルで自然体験活動の指導を依頼されることもあります.多くのリーダーがホームページで公開されています.
◎プロジェクトワイルド エデュケーター(公園緑地管理財団)
→野生生物をテーマにした環境教育プログラムです.私たちひとりひとりが,野生生物と自然資源に対し,責任ある行動をとれるようになることを目標としています.プログラムは幼稚園から高校まで,様々な教育現場で活用することができます.アメリカで開発されたプロジェクトワイルドは,日本での普及に伴い,日本の野生生物や生態系に即した改訂がされました.(プロジェクトワイルドホームページより)
◎プロジェクトウェット エデュケーター(河川環境管理財団)
→ プロジェクトWETのWETは「Water Education for Teachers:教師のための水に関するプロジェクト」の略であり,教育活動を通じて,水や水資源に対する認識・知識・理解を深め責任感を促すことを目標として開発された「水」に関する環境教育プログラムです.
教師が知識を与えるのではなく,子どもたち自身がアクティビティ(活動)を実践しながら,「水」の大切さや重要性を考えていきます.(プロジェクトウェットホームページより)
◎プロジェクト ラーニング ツリー(ERIC国際理解教育センター)
→ Project Learning Treeは,アメリカ森林研究所が,せいぶ3州の教育庁などで構成するアメリカ西部地域環境教育協議会に,現場教員が使える環境教育プロジェクトの開発を委託した1974年から開発が始まったプログラムです.「木を通した環境教育プログラム」です.
◎GEMS(Great Explorations in Math and Science)リーダー(ジャパンGEMSセンター)
→「GRMS(ジェムズ)はアメリカのLHS(ローレンスホール研究所)で20年近く研究され続けてきた科学・数学のカリキュラムの一つで、体験学習法の理論に基づく、アクティビティ(活動体験)が中心のカリキュラムです。学校で実際に試し、試行錯誤を重ねて改訂されてきた科学や数学を習得するための優れた教材です。ビニール袋の中で化学反応を起こしたり、巨大なシャボン玉をとばしてみたり、また宇宙から来たという不思議な緑色の物質を調査したり、太陽熱の実験をしたり、GEMSnoアクティビティの一つ一つが、子ども達が想像力を駆使しながら、科学の基礎的概念・方法を学べるようにと考案されたものなのです。GEMSは幼稚園から高校1年生までを対象とした70冊あまりの教師用手引き(指導書)を出版していますが、「アリの巣」「ミミズ」「酸性雨」「文化遺跡調査」「魚観察」「動物の行動観察」「環境探偵」など、どれもが楽しく、だれでも専門的知識がなくても指導でできる内容の指導書です。野外教育や環境教育の指導にも有効と考えます。各手引きには詳しい背景情報、評価方法、関連文献リストが含まれています。また、学校の教員がGEMSを学校のカリキュラムに取り入れられるように、教員対象のワークショップもおこなっており、ネットワーク作りにも力を入れています。」(ジャパンGEMSセンターホームページより)
◎キャンプ インストラクター(社団法人 日本キャンプ協会)
→理科教育研究室と体育第2研究室で主催する「こどもキャンプ」などの規格・運営に参加することで,キャンプ指導に関する資格を取得することができます.自然体験学習を実施するにあたっては,キャンプを活用することも有効な手段の一つですが,安全管理を含めたキャンプの運営のノウハウはなかなか実践的に学ぶ機会がありません.この資格は,そのための資格取得講習会を受けるというよりも,学生がキャンプを通した自然体験学習のさせ方を学ぶ中で結果的に得ることができるものになっています.
◎Life Supporting First Aid for Children’s First Aider(こどもの救急救命)
→こどもを野外に連れ出すということは,細心の注意を払っていてもある一定のリスクが伴います.念入りな安全管理を心がけることの一環として,突発的なケガや病気などに対処する方法をきちんと学ぶことが必要です.この資格は,救命方法のイロハを実技中心に学ぶことで得られます.
◎スイフトウォーターレスキュー・ファースト・レスポンダー(Rescue3)
→カヌーや川の体験学習などでは,水難事故に関する対応の方法も知っておく必要があります.この資格取得講習会では,レスキュー現場での救助者の安全確保とそのための水流の特性の認識や,どのような装備が必要なのかを基本的なレスキュー方法を実施しながら紹介していきます.たとえば,ロープを使った救助やボートを使った集団でのレスキューの仕方などを体験的に学びます.クラス修了者にはRESCUE 3国際認定証が発行されます.